
電動弁(でんどうべん)
Motor-operated Valve / Electric Actuator Valve / モーター弁 は、電動モーターの回転力を減速機構を介して弁の開閉動作に変換し、配管内の流体(水・蒸気・空気・ガスなど)を自動的または遠隔で制御する装置です。モーターの回転は減速され、ゆっくりかつ安定した開閉動作となるため、流量や圧力の精密で安定的な制御が可能です。これにより、プラント設備からビル管理システムまで、幅広い用途で高い制御性と信頼性を発揮します。
特徴
- 高精度制御:開度を細かく調整できるタイプもあり、流量や圧力の安定制御が可能
- 遠隔操作:制御盤やDCS(分散型制御システム)などから操作可能
- 多用途:給水設備、空調システム、プラント配管、産業機械など幅広く使用
- メンテナンス性:手動弁に比べて少ないが、モーターや電装部の保守が必要
構造の概要
- 制御ユニット:開度制御、フィードバック信号、位置検出
- モーター部:電力を回転力に変換
- 減速機構:回転速度を低下させトルクを増幅
- 弁本体:ボール弁・バタフライ弁・ゲート弁など

流体制御における役割
流体制御とは、水・蒸気・空気・ガス・オイルなどの流れを、必要に応じて止めたり流したり、流量を調整する技術です。
電動弁はその中で、次のような重要な役割を担います。
- 流量の精密調整
モーターの制御により、バルブ開度を細かく設定できます(比例制御)。
これにより、化学プラントや空調設備などで必要な安定した流量管理が可能になります。 - 大口径配管の制御
電磁弁では対応が難しい中〜大口径配管や高トルクが必要な場面で活躍します。 - 長時間の開閉保持
モーターは動作時のみ電力を消費するため、長時間開または閉状態を維持する場合にも効率的です。 - 自動化システムとの連携
センサーや制御システム(PLCなど)と接続し、遠隔や自動運転での流体制御が可能になります。
電動弁の主な種類
電動弁は、用途や制御特性に応じて以下のような主要タイプがあります。
ボール弁型
Ball Valve Type
- 構造:球状の弁体を回転させることで流路の開閉を行うタイプ。
- 特徴:開閉が高速で、シンプルな構造。流体の流れをほぼ遮断なく通すため、圧力損失が少ない。
- 主な用途:配管ラインの全開・全閉、工業用水、ガス、油などの制御。

バタフライ弁型Butterfly Valve Type
- 構造:円盤(ディスク)を軸回転させて流路を開閉するタイプ。
- 特徴:大口径配管に適し、軽量・省スペース。開度の調節も容易で、連続的な流量制御が可能。
- 主な用途:冷却水や空気、排水など幅広い産業ラインに使用。

ゲート弁型
Gate Valve Type
- 構造:弁体(ゲート)が上下することで流路を遮断するタイプ。
- 特徴:全開・全閉運用向けで、流体の直線的な流れに適している。減圧損失が少ない。
- 主な用途:大規模な配管ラインや、石油・化学関連のプラントなど。

グローブ弁型
Globe Valve Type
- 構造:弁体が垂直に動き、流量調整や圧力制御に優れるタイプ。
- 特徴:精密な流量調整・スロットル性能に強く、開度設定も可能。
- 主な用途:蒸気・給湯・加圧水など、細かな制御が求められるラインに最適。

まとめ|電動弁選定と導入のポイント
電動弁は、高精度な流量制御と遠隔操作を可能にし、産業プラントからビル設備まで幅広い分野で重要な役割を果たす流体制御機器です。
特に、大口径配管や高トルクが必要な環境、長時間の開閉保持が求められるシーンでは、電磁弁に比べて優れたパフォーマンスを発揮します。
導入時のポイントは以下の通りです。
- 用途に適した弁型式の選定(ボール・バタフライ・ゲート・グローブ)
- 設置環境・流体特性に合わせた材質選び(ステンレス・鋳鉄・樹脂など)
- 制御方式の検討(ON/OFF制御、比例制御、遠隔監視連携)
- 保守性・交換部品の入手性の確認
当社のご提供内容
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