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流体制御とは何か ― 産業を支える基盤技術

「流体制御(りゅうたいせいぎょ)」とは、液体や気体などの流体の流量・圧力・温度・方向を目的に応じて制御・管理するための技術およびシステムの総称です。
この技術は、製造業、インフラストラクチャー、医療、環境設備など、あらゆる産業の安全・効率・品質を支える不可欠な基盤です。

1. 流体制御の構成要素

  • バルブ(Valve):流体の流れを開閉または調整する機械要素。材質・構造は用途により多様(例:ステンレス製、樹脂製、耐腐食合金など)。
  • アクチュエータ(Actuator):バルブを動作させる駆動装置。電動式、空気圧式、油圧式などがあり、自動化や遠隔制御に不可欠。
  • センサー(Sensor):圧力、流量、温度、液位等をリアルタイムで計測し、制御システムにフィードバック。
  • 制御システム(PLC・IoT):産業用コントローラやIoTネットワークにより、複数の機器を統合制御し、省人化・高精度化を実現。

2. 主な適用分野

  • 製造業:化学プラント、食品加工ライン、半導体製造設備
  • インフラ:上下水道施設、発電所、地域冷暖房設備
  • 医療・環境:滅菌装置、環境試験設備、クリーンルーム
  • エネルギー:石油・ガスパイプライン、再生可能エネルギー設備

3. 日正信株式会社の強み

  • 国際規格(CE、RoHS、ISO等)対応製品の安定供給
  • OEM・ODM対応による現場仕様へのカスタマイズ
  • IoTと連携したスマート制御ソリューションの設計・実装支援
  • 海外メーカーとの直接取引による短納期・安定価格の実現
  • 海外メーカーとの直接取引による短納期・安定価格の実現

電気で流体を制御する精密部品:ソレノイドバルブのご紹介

ソレノイドバルブ(電磁弁/Solenoid Valve)は、電磁コイルに電流を流して発生する磁力でプランジャー(可動鉄心)を作動させ、液体・気体の流れを瞬時に開閉・切替する電磁制御バルブです。遠隔操作や自動化、高い応答性が求められる産業用途で広く使用され、設備の安全・品質・効率に直結します。

ソレノイドバルブの仕組み

  • コイル(電磁コイル)
    通電することで磁場を発生し、プランジャーを動かす役割を担います。コイルには被覆材(樹脂など)で保護されていることが多いです。
  • プランジャー(可動鉄心)
    磁力で上下に動き、弁の開閉を行います。プランジャーの材質や形状により応答速度が異なる場合もあります。
  • スプリング(復帰ばね)
    通電を止めた際にプランジャーを元の位置に戻して弁を閉じる役割があります。ばねの強さでバルブの復帰速度や保持力が変わります。
  • 弁座(オリフィス)
    流体の通路を密閉または開放するための部分です。高精度な密閉性が求められる用途では、ゴムシールや特殊な材質が使われることもあります。
  • バルブボディ
    バルブ全体を覆い、流入口・流出口が設けられています。ボディの素材には、ステンレス、真鍮、樹脂など、用途に応じて選ばれます。

作動原理(2ポート・直動式・常閉NCの例)

  • 無通電(OFF):ばね力でプランジャーが弁座を押さえ、
  • 通電(ON):磁場がプランジャーを引き上げ、弁座が開き入口→出口へ流れる。
    ※直動式は微小流量や低差圧でも確実に作動します。

作動タイプ

  • 常閉(NC):無通電=閉、通電=開
  • 常開(NO):無通電=開、通電=閉
  • 直動式:プランジャーが直接弁を開閉。低流量・低圧差・高速応答に有利。
  • パイロット式:補助ポートの圧力を利用して主弁を駆動。大流量・高圧差に適し、省電力。
ソレノイドバルブ SOLENOID VALVE — 2/2 直動式・常閉(NC) 2/2 | 直動式 | NC Two-port, Two-position IN OUT 弁座 ガイドチューブ 可動鉄心 スプリング(復帰ばね) コイル 常閉(OFF) 通電(ON) ※ 通電中(ON)は磁場が発生し、可動鉄心が持ち上がって弁座が開き、入口→出口へ流れます。

用途例

バルブ制御

水処理設備
冷却システム

エア・水・油の制御

工場自動化ライン

衛生的流体管理

食品・飲料製造ライン

流量制御

医療機器
精密機器

  • 水処理・冷却設備:フィルタ洗浄、補給水、冷媒回路の開閉
  • 工場自動化ライン:エア・水・油のON/OFF、切替、シーケンス制御
  • 食品・飲料製造:衛生性が求められる流体の管理(洗浄媒体、CIP/SIP補助)
  • 医療・精密機器:微量流体の制御、真空・ガスラインの切替
  • 一般的なバルブ制御:遠隔制御やインターロックが必要な系統

仕様選定のポイント

流体条件

  • 種類(空気・水・油・蒸気・薬液・不活性ガス 等)、粘度・腐食性・清浄度、許容漏れ量
  • 温度範囲/凍結・スケール対策

圧力・流量

  • 最高使用圧力、差圧条件、目標流量(Cv/Kv
  • 直動式/パイロット式の適否(差圧の有無で決定)

材質・シール

  • ボディ(SUS、真鍮、PPSU等)/シール(NBR、EPDM、FKM、PTFE等)
  • 衛生規格・薬液適合性の要件

電気仕様・保護等級

  • 定格電圧(DC/AC)、消費電力、コネクタ方式
  • IP等級、耐環境性(防滴・防塵・耐熱)/防爆要件がある場合は該当規格

規格・認証

  • CE、RoHS、(用途により)FDA相当材質、REACH 等の対応可否

まとめ

ソレノイドバルブ(電磁弁/Solenoid Valveは、電気信号で流体をダイレクトに制御できるため、産業用オートメーションの中核部品です。

日正信株式会社は、直動式〜パイロット式、NC/NO、各種材質・シール、国際規格対応まで幅広くご提案し、選定・導入・保守を一気通貫でサポートします。

流体制御の重要機器:電動弁のご紹介

電動弁(でんどうべん)
Motor-operated Valve / Electric Actuator Valve / モーター弁 は、電動モーターの回転力を減速機構を介して弁の開閉動作に変換し、配管内の流体(水・蒸気・空気・ガスなど)を自動的または遠隔で制御する装置です。モーターの回転は減速され、ゆっくりかつ安定した開閉動作となるため、流量や圧力の精密で安定的な制御が可能です。これにより、プラント設備からビル管理システムまで、幅広い用途で高い制御性と信頼性を発揮します。

特徴

  • 高精度制御:開度を細かく調整できるタイプもあり、流量や圧力の安定制御が可能
  • 遠隔操作:制御盤やDCS(分散型制御システム)などから操作可能
  • 多用途:給水設備、空調システム、プラント配管、産業機械など幅広く使用
  • メンテナンス性:手動弁に比べて少ないが、モーターや電装部の保守が必要

構造の概要

  • 制御ユニット:開度制御、フィードバック信号、位置検出
  • モーター部:電力を回転力に変換
  • 減速機構:回転速度を低下させトルクを増幅
  • 弁本体:ボール弁・バタフライ弁・ゲート弁など

流体制御における役割

流体制御とは、水・蒸気・空気・ガス・オイルなどの流れを、必要に応じて止めたり流したり、流量を調整する技術です。
電動弁はその中で、次のような重要な役割を担います。

  1. 流量の精密調整
    モーターの制御により、バルブ開度を細かく設定できます(比例制御)。
    これにより、化学プラントや空調設備などで必要な安定した流量管理が可能になります。
  2. 大口径配管の制御
    電磁弁では対応が難しい中〜大口径配管や高トルクが必要な場面で活躍します。
  3. 長時間の開閉保持
    モーターは動作時のみ電力を消費するため、長時間開または閉状態を維持する場合にも効率的です。
  4. 自動化システムとの連携
    センサーや制御システム(PLCなど)と接続し、遠隔や自動運転での流体制御が可能になります。

電動弁の主な種類

電動弁は、用途や制御特性に応じて以下のような主要タイプがあります。


ボール弁型
Ball Valve Type

  • 構造:球状の弁体を回転させることで流路の開閉を行うタイプ。
  • 特徴:開閉が高速で、シンプルな構造。流体の流れをほぼ遮断なく通すため、圧力損失が少ない。
  • 主な用途:配管ラインの全開・全閉、工業用水、ガス、油などの制御。

バタフライ弁型Butterfly Valve Type

  • 構造:円盤(ディスク)を軸回転させて流路を開閉するタイプ。
  • 特徴:大口径配管に適し、軽量・省スペース。開度の調節も容易で、連続的な流量制御が可能。
  • 主な用途:冷却水や空気、排水など幅広い産業ラインに使用。

ゲート弁型
Gate Valve Type

  • 構造:弁体(ゲート)が上下することで流路を遮断するタイプ。
  • 特徴:全開・全閉運用向けで、流体の直線的な流れに適している。減圧損失が少ない。
  • 主な用途:大規模な配管ラインや、石油・化学関連のプラントなど。

グローブ弁型
Globe Valve Type

  • 構造:弁体が垂直に動き、流量調整や圧力制御に優れるタイプ。
  • 特徴:精密な流量調整・スロットル性能に強く、開度設定も可能。
  • 主な用途:蒸気・給湯・加圧水など、細かな制御が求められるラインに最適。

まとめ|電動弁選定と導入のポイント

電動弁は、高精度な流量制御遠隔操作を可能にし、産業プラントからビル設備まで幅広い分野で重要な役割を果たす流体制御機器です。
特に、大口径配管や高トルクが必要な環境、長時間の開閉保持が求められるシーンでは、電磁弁に比べて優れたパフォーマンスを発揮します。

導入時のポイントは以下の通りです。

  • 用途に適した弁型式の選定(ボール・バタフライ・ゲート・グローブ)
  • 設置環境・流体特性に合わせた材質選び(ステンレス・鋳鉄・樹脂など)
  • 制御方式の検討(ON/OFF制御、比例制御、遠隔監視連携)
  • 保守性・交換部品の入手性の確認

電磁弁と電動弁の比較|特徴・用途別・選び方ガイド

電動弁
モーター弁

Electric Actuator Valve

  • ビル空調システム
  • 上下水道施設・発電所設備
  • 化学プラント
  • 大型冷却ライン

電磁弁
ソレノイドバルブ

Solenoid Valve

  • 自動化生産ライン
  • 食品・飲料充填装置
  • 空気圧機器
  • 水処理設備の一部制御

特徴

流体制御弁 選定時の確認項目

流体制御弁を正しく選定するためには、使用環境・要求性能に応じた多角的な確認が不可欠です。以下は、選定時に優先的に確認すべき主要項目の一覧です。

項目確認内容
1. 使用流体の種類・特性流体の種類(気体/液体/特殊流体)および性質(腐食性、粘度、比重、可燃性など)を確認。適合する材質・構造の弁を選定するための基礎情報となります。
2. 使用流体圧力一次側圧力(最高・最低・常用運転圧力)を確認。耐圧性能が十分な弁を選定する必要があります。
3. 流体温度範囲流体の最低温度・最高温度を確認。極低温・高温の場合、専用材質やシール材が必要です。
4. 周囲温度範囲設置環境の温度条件を確認。屋外・高温・低温環境下では、耐環境仕様の弁が必要となります。
5. 必要流量と流量係数必要な流量、Cv値(またはKv値)を算出し、口径と内部構造を選定します。
6. 接続口径・配管仕様配管サイズ、接続方式(ねじ込み、フランジ、溶接など)を確認。配管設計と一致させる必要があります。
7. ボディ材質流体特性・温度・圧力条件に応じ、黄銅、青銅、鋳鉄、アルミ、ステンレス、樹脂などから選択します。
8. 電源仕様(電動・電磁弁の場合)使用可能な電源電圧・周波数(AC/DC)および消費電力を確認します。

まとめ

流体制御弁の選定は、単に口径や価格だけでなく、流体特性・使用環境・性能要件を総合的に評価することが重要です。適切な選定は、設備の安定稼働と長寿命化、さらにはメンテナンスコスト削減にも直結します。

ソレノイドバルブの3つの作動方式と特徴

ソレノイドバルブ(電磁弁)は、電磁石の力を利用して流体の流れを制御するバルブで、産業機械、設備、配管システムなど幅広い分野で使用されています。その作動方式には大きく分けて 直動式パイロット式パイロットキック式 の3種類があります。それぞれの構造と特徴を理解することで、用途に合った最適なバルブを選定できます。

ソレノイドバルブの作動方式比較表

1. 直動式(Direct Acting)

構造と動作原理
電磁石(コイル)の吸引力のみで弁を直接開閉する方式です。可動鉄心が弁体と直結しており、電流が流れるとコイルが鉄心を引き上げ、弁が開きます。

特徴

  • 無差圧(低圧・ゼロ圧)でも動作可能
  • 応答が速い
  • 構造がシンプルで故障が少ない
  • 流量容量が小さい(大口径・高圧には不向き)

主な用途
分析機器、医療機器、小型設備、低圧配管など


2. パイロット式(Pilot Operated)

構造と動作原理
電磁石の力で小さなパイロット弁を開閉し、その圧力差を利用してメイン弁を動かします。電磁石自体は大きな流量や圧力を直接動かす必要がないため、省電力で大流量を制御できます。

特徴

  • 大口径・高圧流体の制御が可能
  • コイルの消費電力が少ない
  • 最低作動差圧が必要(流体圧ゼロや低圧では動作しない)

主な用途
工場配管、空気ライン、冷却水・蒸気制御など


3. パイロットキック式(Pilot Kick)

構造と動作原理
直動式とパイロット式の特徴を組み合わせた構造です。初動は直動式のように電磁石の力で弁を動かし、その後パイロット式のように流体の圧力を利用して全開にします。

特徴

  • 無差圧(低圧)でも作動可能
  • 中〜大流量に対応できる
  • 幅広い用途に対応可能
  • 構造がやや複雑でコスト高め

主な用途
水処理設備、食品機械、真空装置、半導体製造装置、幅広い産業設備

ソレノイドバルブ — 3方式の通電/非通電 比較 直動式 IN OUT 非通電時 通電時 原理:コイルの磁力で可動鉄心を直接引き上げ、弁座を開放。 低圧・無差圧でも動作。 パイロット式 IN OUT パイロット 非通電時(差圧で閉) 通電時:パイロット開 → 主弁開 原理:小さなパイロット弁を通電で開き、差圧で主弁を開閉。 要:最低作動差圧/大流量向け。 パイロットキック式 IN OUT 非通電時:ばねで閉 通電時:Kickで開→差圧で維持 原理:通電初期に直動で“Kick”。その後は差圧で全開を保持。 低圧でも起動しやすく、中〜大流量対応。

補足ポイント

  • 直動式は小流量・低圧向けで、コンパクト装置や精密機器に強い。
  • パイロット式は大口径・高流量向け。ただし流体の圧力がないと動かないため、停止状態からの起動には不向きな場合がある。
  • パイロットキック式は両者の中間で、低圧のラインでも使えるが複雑構造のため価格やメンテナンス性に影響する。

まとめ

正しい電磁弁の選び方:専門的かつ実践的なポイント

工場設備や水配管、空気ラインなど幅広い産業用途で活躍する電磁弁(ソレノイドバルブ)。その性能と寿命を最大限に引き出すためには、使用環境や流体の特性に最適な製品を選定することが非常に重要です。以下の選定ポイントと注意事項を押さえれば、最適な電磁弁選びが簡単になります。

1. 流体の種類と特性

  • 使用する流体の種類(気体・液体・特殊流体)や、酸・アルカリ性腐食性など、性質に合った材質(例:ステンレス製や樹脂製)を選択してください。
  • 腐食性液体には、完全な不錆鋼や適合するゴム材質のシールを持つ電磁弁が推奨されます

2. 流体・周囲温度

  • 高温流体の場合は、耐熱性材料または構造(ピストン式や高温対応フッ素ゴムシールなど)を採用したモデルを選んでください。標準的な使用温度範囲を事前にメーカー情報で確認しましょう

3. 流体の状態・粘度

  • 気体/液体/混合状態に応じて専用タイプを選びます。
  • 高粘度流体(50cSt超)を扱う場合は、専用の高粘度対応電磁弁を使用してください

4. 圧力と流量・接続口径

  • 使用圧力に見合った構造(直動式・分布直動式・パイロット式など)や設計を確保します。圧力差が0.04MPa未満の場合は直動式が適します
  • 管径が大型(例:DN25、DN50超)の場合は、特に対応型を選ぶとともに、フランジ接続が必要なケースもあります
  • 流量と管径の適切な組み合わせを選定し、計算式やカタログ値を参考にしましょう。

5. 電気的条件・動作方式

  • 電源電圧(AC/DC、定格電圧±15%以内)を現場に合わせて選定。
  • 作動方式:ノーマルクローズ(常時閉)・ノーマルオープン(常時開)や、可動時間、頻度に合った機種を選びましょう

6. 環境要件・安全性

  • 動作頻度の高い現場には高耐久型や信頼性の高い大手ブランド製を推奨します
  • 周囲温度や湿度、粉塵、振動、防爆要件などにも適合する製品を選択してください。

電磁弁 取付・使用時の注意事項

  • 弁体上の矢印を流体の流向と一致させ、必ず垂直に上向きで取り付ける
  • 設置前に配管内を洗浄し、フィルターを弁前に設置して異物混入を防止する
  • 取付後は数回通電し、適温状態にしてから本運用としてください。
  • 配線時の電圧変動にも注意し、製品の定格範囲(±10~15%)内で使用が必要です。
  • 縦管や横向配置の際はメーカー推奨を確認し、逆止弁設置など逆流防止にも配慮してください。

補足アドバイス

  • 非常時の動作やメンテナンスの容易さも長期利用を見据えて重要な選定基準です。
  • 対象となる流体が食品衛生や高度な純業など特殊用途の場合は、適合認証を得ているモデルを選ぶのが安全です
  • サイズ選定や取付姿勢、作動音など、疑問点はメーカーや専門商社に相談しましょう。
  • 正しい選定と設置により、装置全体の信頼性と長寿命化、メンテナンス負担軽減が実現します。用途や現場環境をしっかり把握し、最適な電磁弁をお選びください。

日正信株式会社のご提供内容

Nishoshin株式会社では、産業用から衛生仕様まで幅広いソレノイドバルブを取り扱っております。
海外メーカー製品の輸入・販売に加え、日本市場に適した仕様提案、認証取得サポート、小ロットからの安定供給を実現します。
また、現場の条件に合わせたカスタム仕様や短納期対応も承ります。

製品カタログや技術仕様、サンプル手配など、お気軽にご相談ください。

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